昨年、東証一部に上場することで、どの程度の株式がTOPIX連動型ファンドに組み入れられるかを計算しましたが、考慮が足りない部分がありましたので改めて最新のデータで計算し直したいと思います。
おさらいとして、東証一部に上場することで株価が上がる理由として考えられるのは、以下の4つです。
- TOPIX算出対象となることによりTOPIX連動型ファンドへの組み入れ需要が発生
- 東証一部上場期待の投資家の買い(市場変更発表前)
- <1>を期待した投資家の買い(市場変更発表後)
- 企業成長の通過点
その中でも<1>は、確実に買い需要が発生する理由といえます。とはいえ、本当に株価に影響を与えるほどの買い需要が発生するのか確認していきます。
TOPIX連動型ファンドによる買い需要
まず東証一部の時価総額は日本取引所グループのデータによると、2018年11月末日時点で約620.6兆円(①)と分かります。
次に投資信託協会のデータによると、 株式投信のうち公募型の純資産総額は、2018年11月末日時点で約100.5兆円(②)あり、内TOPIX連動型ファンドは約18.8兆円(③)あります。
さらに私募型の株式投信の純資産総額は約87兆円(④)あります。こちらはTOPIX連動型ファンドがどの程度あるか公表されていませんが、公募型と同程度と仮定してみると、約16.2兆円(⑤=④×③÷②)と推定されます。
これらより東証一部の時価総額のうち、TOPIX連動型ファンドが占める割合 (③+⑤)÷① を計算してみると5.6%にもなります。
まとめ
東証一部になることで、平均で発行済み株式の5.6%がTOPIX連動型ファンドに買い占められることになり、銘柄によってはインパクトが大きいですね。日銀のETF買い入れの影響が、こんなところにも出ているのかもしれません。
なお、実際にTOPIXに組み入れられる割合は、銘柄ごとに浮動株比率の大小によって調整されていて、5.6%という数字はあくまで平均です。これより多い銘柄もあれば少ない銘柄もあります。
長くなるので個別銘柄のインパクトは別の機会にしたいと思います。